島の男たち
台風の影響で雲の様子が怪しかった。
直撃の心配はなさそうだが、この日の「シロアゴガエル」調査も車にした。
於茂登集落に近づいてくると小雨まじりの霧。
いや、風はある。
雲が於茂登岳の裾野低くに垂れ込めて来ているのだろうか。
車のヘッドライトをロー・ハイと切り替える。
ミストの中ではっきりとした光芒がラインとなって現れ、
迫って来るコーナーを映し出した。
ワイパーブレードが音をたてながらミストを拭い去る。
雲の中にいるようだ。
低い山だが、確実に水気を含んだ雲を風が運び出し、
こんな夜でも亜熱帯の木や草花、そして生き物たちを育んでいるのだ。
南の島。
太陽の強い光を浴びた山の緑も美しいが、
ミスティな夜の、山の表情もまた素敵だと思う。
東側エリア。
調査地図でいうと、中央右上にあたる。
於茂登集落を抜けて、東西に走る県道をたっぷり東へ進み、
そこから北へ上がることにする。
10箇所ほどのチェックポイントを反時計回りに潰して行こう。
今日、廻れるのは底原ダムの下までだな。
気圧が変わったのか、霧のような雲は山側を昇り始め、
視界が利くようになった。
この分だと雨の心配もなさそうだ。
この辺りの農道も地図に載せられている通りだ。
さほど手こずらずに済むだろう。
それにしても、夏草の生い茂り方はどうだ。
かるく背丈を超すものも多い。
水場。
特に集水枡や川の周辺で、次々と「シロアゴガエル」の鳴き声を確認する。
ヒメアマガエルやサキシマヌマガエルの大合唱にも慣れてきていた。
順調だった。
調査順路を反時計回りにしたことの誤りに気づくまでは。
次号「島の男たち」〜栄光の赤土〜 を待て。
この「カエル日記」、しばらくつづくかも知れないなぁ・・・
あっ、今回は載せる写真がないや!