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2010年10月14日

サシバを見にいく

西表島。曇り。

前日まで大阪にいて、
急逝した友との別離を偲んで来た。
心の整理など当分つかないだろう。

朝まで残った雨のせいだろうか、
西表島は時折り薄日が差すだけで急激に湿度が持ち上がった。
今日一日、保てばいいのだが。

午後12時を回ると徐々に参加者が大原港のターミナルに集まりだした。
「サシバの森の観察会」を楽しみにしていた子供たちとその保護者たちだ。
地元の西表と石垣からも家族連れがやって来て賑やかになってきた。
西表島PV(パークボランティア)と石垣島からもPVが参加した。
「サシバ」チーム。「カンムリワシ」チーム。「チョウゲンボウ」チーム。
3班に分かれて12名のPVが配置される。
一般の参加者は20名たらず。
それに対して、統括する環境省のレンジャーやアクティブレンジャーなど運営側のスタッフを合わせると、はるかにこちらの方が数は上回る。
しかし、これはこれで良いのだと思う。
地元紙などで一般公募した定員は、15名ほどだと聞いた。
今回の参加者は、1歳児から60歳の男性もいる。
小学生の児童が大半だが、ブラジル国籍の男性もいた。
参加費は無料だ。
自分たちの島の自然に親しみ、触れることや見ることで身近な自然を学んでもらう。
少人数のチーム単位で行動するには、サポートは多い方が良い。


大原港からチャーターした観光ボートに乗って、仲間川を遡行する。
港内を半周するように船首は山の方に向けられて川に入って行く。
黄土色に濁った川は数日来の雨量を知らせる。
西表の観光会社の船なので、ガイドも手慣れたものでしっかりしていた。
西表島西部の浦内川は沖縄県最長の河川で、このような観光船が運航しているが、東部の仲間川から船で入るのは今回が初めてだ。

いわゆる観光ルートだが悪くない。
船長自らがマングローブ林の植生を細やかにガイドしてくれたり、シラサギやムラサキサギを見つけるとすぐに知らせてくれる。
その度に子供たちの喚声が沸き起こり、お父さんのハンディーカメラは子供から鳥へと忙しくズーミングしている。
その微笑ましい光景を最後尾から眺めていると、こういうのも満更でもないなと思えてしまうのだった。
意味も無く会話を続ける御婦人方のグループや、怪しい年の差カップルなんかと乗り合いになるより、よっぽどいいのだ。

マングローブ林の中を蛇行しながら進んで行くと、随所に台風の爪痕が見てとれた。
先月の台風11号は、最大瞬間風速60mの圧倒的な強風が吹き荒れ、石垣島でも猛威をふるった。
仲間川上流から大木が流されヘシ折られたか、それとも強風でなぎ倒されたのか。
川岸に近いヒルギの仲間が、多く打揚げられるように横たわっていた。
「強い横波を受けるだけで、ヒルギは抜けるように倒れてしまうんです」
横に座ったPVのリーダーで、西表島の小中学校の理科の先生が教えてくれた。

2週間前、この日のための事前調査が行われていた。
カエル調査が一段落した僕は、秋を告げる「サシバの渡り」に、とても興味があった。
石垣島に移り住んでからは、こういった自然界の営みにますます興味が募る。
西表自然保護官事務所からの要請にも、ふたつ返事で参加すると応えた。
下見では観光船には乗らなかったが、林道を実際に歩きながら
観察コースの選定を行った。
樹木や草花のこと、けたたましく鳴くイワサキゼミや枝にぶら下がるヤエヤマオオコウモリを見つけては、この先生から楽しく話を聞かせてもらった。
長靴履きにタオル鉢巻がよく似合う先生だ。
「学校で教えるのも、殆ど外に連れ出しちゃう」
と笑っていた。


観光船は日本最大「サキシマスオウノキ」の船着き場に到着した。
整備された木道を歩いて行くと、やがて目の前に樹齢400年のサキシマスオウノキが現れた。
高さ20m。
仄暗い森の中で、そこだけが何か特別な空間のように思えてしまう。
その自然の神秘、生命力。
神々しさに息を飲む。

サシバを見にいく


400年もの間、幾度となく台風に遭い、
幾度生命の移ろいをここから眺めたことだろう。
嵐で流され、その役目を終えるもの。
また種子から新しい根を張るもの。
ここに立っていると生命の木霊が聴こえてくるようだ。

自然は森を壊さない。
そう思えてならないのだ。


(前篇 了)



Posted by ほんかー at 18:28│Comments(5)
この記事へのコメント
この、仲間川遡航の観光コース、行ったことがあります。
MBSの「宵待ち5」という番組の旅コーナーでした。
今から何年くらい前のことだろう。
タレントは大○田厚という元レスラーと、
イ○ロー☆ャブという凄い女の子がいっぱいいる事務所の女の子で、
Dは◇落くんという、今は東京で濱□某との旦那におさまっている人物。
知っているよね?
Pは、西天満一座のライブには必ず来てくれる筧さんでした。

サキシマスオウノキに出会いました。
この近くの滝にも行った。
地元の子供達が元気よく泳いでいた。

ようやく大阪も朝夕が涼しくなって来ました。
またこっちに来るんだっけ?
Posted by 座長 at 2010年10月16日 11:22
このサキシマスオウノキの写真をぱくって、自分のiphoneのバックグラウンドに設定したよ。無断使用をお許しください。
Posted by San Diego at 2010年10月17日 06:58
>座長
『宵待5』て、懐かしいですね。
その頃も今も変わってないと思いますよ、西表島は。
今でも信号機 2ケだけですから(^◇^;)

20日に大阪行きます。
23日から大阪ロケです。
石垣戻ったら、第二次カエル調査始めます。
Posted by ほんかー at 2010年10月17日 13:02
> San Diegoさん
『サキシマスオウノキ』のカットをバックグランドに!
嬉しいですね~♫
「懐かしの西表島」です(#^.^#)
Posted by ほんかー at 2010年10月17日 13:08
微妙なハンドルネームで遊んでみたりしてすんまへん。
光資さんとこ、我娘骨折手術で延期。
dancer生命にSTOPが掛かり愚母もモチベーションダウンです。
神秘なる生命体の話を目で追いながら
なんと愚かで愛おしい人間の波の中に自分はいるのだろう…と。
そして妙に納得。
そうそう!あたしゃこういうストイックな奴が好みなんだと…
超、正統派コメの中で浮遊です。お許しを(+_+)
ほんかーってほんまー?
Posted by motokano yamete seamoon at 2010年10月17日 23:01
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